相続手続きにおいて、遺言書を残しているかいないかは重要です。なぜなら、遺言書がある場合、相続財産をどのように分けるかは、まず遺言書の内容が優先されるからです。
しかし、遺言書を残しているかどうか、また遺言書を残している可能性があるとしてもどこに保管されているのか探すのにお困りの場合もあると思います。
このページでは、遺言書の探し方や注意点について説明していきます。
このページの目次
遺言書の種類
遺言書の探し方は、遺言書の種類によって異なります。
一般的な遺言の種類は、公証役場で作成された『公正証書遺言』と、手書きで書かれた『自筆証書遺言』の2種類になります。
公正証書遺言の探し方
公正証書遺言は公証役場で保管されています。相続人は、公証役場で公正証書遺言が作成されているかいないか、作成されている場合はどこの公証役場で遺言をしたのかを調べることができます(=遺言検索システム)。
この遺言検索システムは、平成元年以降に公証役場で作成された遺言を、全国の公証役場で無料で検索することができます。
検索の結果、公正証書遺言を作成していることが分かったときは、作成された公証役場で公正証書遺言の写しを取得することができます。
遺言検索システムの利用に必要な書類
相続人が遺言検索システムを利用する場合は、
- 遺言者の死亡を証明する戸籍(除籍)謄本
- 相続人であることを証明する戸籍謄本
- 請求する相続人の本人確認書類
が必要となります。
自筆証書遺言の探し方
自筆証書遺言の場合、自宅や入所施設、金融機関の貸金庫などで保管されていることが考えられます。重要書類とともに保管されていることも多く、遺品整理をする際に自筆証書遺言がないか探してみてください。
遺言書を発見した場合、メモ書きの様なものも自筆証書遺言の様式を満たしていれば、遺言書として有効となるものがあります。判断に迷った際は、弁護士や司法書士などの専門家に見てもらうことをお勧めします。
また、封筒などに入れて封がされている遺言書は、家庭裁判所で開封する必要があります。
遺言書保管制度の創設
自筆証書遺言の場合、上記のように自宅などで保管される場合も多く、相続人に遺言書の存在に気付かれないまま遺産分割がされる恐れがあります。そのため、令和2年7月から法務局で遺言書を預かる「遺言書保管制度」が開始されました。
遺言書保管制度では、遺言書が法務局に預けられているか確認する「遺言書保管事実証明書」の交付を請求することで遺言書が保管されているかを調べることができます。
遺言書保管事実証明書の請求について
遺言書保管事実証明書は、全国すべての遺言書保管所に請求が可能です。
相続人が遺言書保管事実証明書の請求をする際、
- 交付請求書
- 遺言者が死亡したことを証明する戸籍(除籍)謄本
- 請求者の住民票の写し
- 相続人であることを証明する戸籍謄本
- 請求する相続人の顔写真付きの本人確認書類
- 手数料800円の収入印紙
が必要となります。
家庭裁判所での検認の必要性
『遺言書が見つかったら(遺言書の検認)』のページにも記載していますが、自筆証書遺言については、家庭裁判所での検認手続きが必要となります。ただし、前述した遺言書保管制度によって法務局に預けた自筆証書遺言については、検認の必要はありません。