相続開始後に一部の相続人が被相続人の預金などの相続財産を無断で使い込んでしまっていることがあります。
被相続人の財産は、相続の開始とともに遺産分割の対象となります。利用の目的に関わらず、他の相続人の同意なしに遺産を使うことは、相続人間のトラブルになりかねません。
このページでは、遺産の使い込みに気づいたときの確認方法と予防方法などについて説明していきます。
このページの目次
使い込みの確認方法
相続開始後に遺産の使い込みを確認する簡易な方法は、被相続人の預金口座の通帳記帳をすることです。通帳記帳をすると取引履歴の確認ができます。相続開始からそれほど時間が経過していない場合は、通帳の履歴を確認することでお金の動きが把握できます。
通帳が手元にない場合は、取引明細書を金融機関に請求する方法があります。取引明細書は相続人であることを証する書類(戸籍謄本等)を提出することで、相続人の1人から請求することができます。
なお、取引明細書を請求することで、金融機関の口座は凍結されます。
使い込みを防ぐ方法
相続開始後に一部の相続人の使い込みが疑われる場合の対処法として、金融機関に口座名義人が死亡した旨を伝えて口座を凍結してもらう方法が考えられます。
金融機関は口座名義人の死亡を知った場合は口座を凍結します。口座が凍結されると、現金の引き出しや引き落としなどの取引が行えなくなります。相続人でも現金の引き出しができなくなるので、使い込みを防ぐことができます。
口座を凍結することは遺産の使い込みの対処法としては有効ですが、注意点もあります。それは、公共料金の引き落としなどもできなくなる点です。口座凍結の前に引き落とし口座を切り替えるなどの手続きをしておきましょう。
使い込みの疑いのある行動をしてしまった場合
生前から被相続人と同居していた場合などは、相続開始とともに相続財産が遺産分割の対象になるという認識もなく、相続開始後も生前と同じように被相続人の口座からお金を引き出してしまうこともあるかもしれません。
ただし、それが親族間のトラブルに発展してしまう可能性があります。
他の相続人の同意なく被相続人の口座からお金を引き出してしまっていたら、使い込みという認識がなかったとしても、すみやかに財産を返しましょう。すぐに返すことが難しい場合は、他の相続人に打ち明け、少しずつでも返していきましょう。
正直に打ち明け、大きなトラブルに発展しないようにすることが重要です。